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1999年6月号
政府はシードクラフト社に損害賠償をしなければならない。その交渉は去年始まったが、裁判が長引いたため、途中で保留になり、判決を待っていた。その交渉はこれから再開される。
ローセングレーン(Rosengren)産業相は「バルセベック1号基を廃止するという政府の決定が合法だということが法律上明確になった。喜ばしいことだ。議会の大多数の意思に従い、エネルギー制度の転換を続けることができることを意味する。」というコメントを発表した。次の日、「現在、廃止を止めるものは何も見当たらない」と発言している。
シードクラフト社は「スウェーデンの環境と経済が敗者になる」というコメントを発表し、残念な結果だと主張した。「原発の代わりになる電力はデンマークの(環境に悪い)石炭火力発電所から輸入することになる。」などと批判した。特に不満に思っている点は、行政裁判所が欧州裁判所の意見を聞いていないことだという。シードクラフト社は、政府の決定がEUの競争ルールに違反しているとの主張を行政裁判にだけではなく欧州委員会にも訴えている。しかし、85ぺージに及ぶ判決は、「政府の決定を無効にする根拠はない。欧州裁判所の意見を聞く必要性の根拠もない」としている。 バルセベック原発から20キロメートルしか離れていないデンマークの首都コペンハーゲンのミッケルセン(Mikkelsen)市長は1980年の国民投票後の廃止をめぐる論議を「20年間の冗談」と呼び、原発廃止政策の実行に期待を込めて今回の判決を歓迎した。
バルセベック1号基に続き、バルセベック2号基は2001年7月1日までに廃止する予定になっている。 しかし、国民は原発の早期廃止にあまり積極的ではない。最近のシーフォ社(SIFO)の与論調査では、国民の62%は安全上あるいは経済上の理由で廃止する必要が出てくるまで原発を利用するべきという考えだ。16%は政府の決定による早期廃止を支持している。
これからは、シードクラフト社がEUの法的手段を利用し抗議を続ける可能性は少し残っている。しかし、スウェーデンのメディアは廃止がほぼ確実だと解釈をしているようだ。
(産業省プレスリリース99/6/16、シードクラフト社プレスリリース99/6/16、TT/Sydsvenskan新聞 99/6/16+17, Aftonbladet新聞 99/6/16)(98年5月号も参照)
法律によると原子炉の解体の責任は所有者にある。現時点では、シードクラフト社がその責任者である。しかし、責任が国に移行される可能性がある。去年の暮れまで続いていた政府とシードクラフト社との任意の合意を目的した損害賠償交渉では、シードクラフト社は、賠償として国営リングハルス(Ringhals)原発の一部の所有権を譲渡するよう要求している。そして同時に、国がバルセベック原発の全責任を負うということも求めている。
原発を解体すると膨大な廃棄物が発生する。バルセベック1号基だけで約3万平方メートルになる。その廃棄物は、海底の地下岩盤の中にあるフォシュマルク(Forsmark)の最終処分所に入れる予定だが、入れる前、岩盤の中に新しい空洞を掘る必要がある。但し、発電所のコンクリートの壁は放射能に汚染されていないから道路建設などに利用できる。(Sydsvenskan新聞99/6/19)
スウェーデンのすべての原発の今までの最終処分を含めた廃棄物処理費用は120億クローネ(約1、800億円)である。SKB社は、高レベル使用済み燃料やその他の放射性廃棄物の最終処分が終わる予定の2050年ごろまでにさらに必要な費用は約480億クローネ(約7、200億円)だと見積もっている。しかし、財源の問題はおおむね解決済みだという。原発所有者は原発の運転開始以来「核廃棄物基金」に絶えずお金を振り込んできた。その総額は現在230億クローネ(約3、450億円)。電力会社は40億クローネ(約600億円)だけ追加すればよい。その後、お金は固定利子で増える予定なので、十分に足りるという。(Sydsvenskan新聞99/6/19)
とトキの誕生
去年、ナチュラル・ステップ・ジャパンの設立準備委員会で「環境ホルモン」と呼ばれている化学物質の問題を分かりやすく説明する本「奪われし未来」の著者であるダイアン・ダマノスキーを日本に招き、セミナーを開催した。「環境ホルモン」とトキの雛の誕生がそれぞれメディアで大きく取り上げられている。あまり関係がないと思われるかもしれないが、私は非常に関係のある話だと思っていて、日本の報道にがっかりしている。
トキと化学物質の話
98年5月27日の京都新聞の特集記事「人間が追いやった」の中で、地元の高校で教えながらトキの視察を続け「トキの先生」として知られる佐藤春男さんが「71年に死んだトキの内臓や筋肉から、DDTなどの有機塩素系農薬や水銀が検出された。人に換算すると、通常の50倍以上の濃度だった」と言っている。DDTという農薬は環境庁の「環境ホルモン」リストに載っている。農薬としての販売は1971年に禁止された。
トキの雛が生まれ、新しい可能性が見えたこの機会は、食物連鎖の頂点にいる人間にとって、化学物質がどんなに大きな影響を及ぼすかということを理解してもらう絶好の「環境教育」のチャンスだと思う。日本のメディアは「農薬でトキが食べるドジョウがなくなった」というような説明をしていることが多いけれども、そう単純な話ではないはず。化学物質が食べ物を経由しトキの体内に蓄積された。そのことが繁殖機能に影響を与えたのだろうか。トキの報道がかわいい雛の騒ぎだけで終わってほしくない。
そんな日本社会の状況の中で、化学物質の問題や自然の循環、現代社会の問題を上手に整理し解説するナチュラル・ステップの環境教育がとても必要だと思う。
レーナ・リンダル
ナチュラル・ステップ・ジャパン事務局連絡先:Tel: 03-5643-6221, Fax: 03-5643-6220
ホームページ: http://www.ner.co.jp/tnsj/
スウェーデンの鳥たち
スウェーデンの酸性雨の問題は日本でかなり知られているが、森林が死んだり、湖が死んだりするという理解にとどまっていることが多いと思う。実は、土壌が酸性化すると、土に含まれている水銀などの重金属は土から遊離して生態系の食物連鎖に入っていってしまうのだ。
DDTに関しては、DDTに汚染された虫を食べた鳥は普通より薄い殻の卵を生むことが1960年代に発見された。猛禽類では、親鳥が卵を抱こうとすると卵が壊れることもあった。さらに、DDTはアザラシなどの哺乳類のホルモンのバランスに影響を与え、繁殖が難しくなったり、流産が増えたりした。
スウェーデンがDDTを禁止してから、バルト海の魚の体内のDDT濃度が早く下がった。しかし、80年代の中頃、濃度はまた突然上がった。その理由は東ドイツの森林でのDDT使用だった。そのあと濃度が再び下がったが、DDTはまだ途上国で利用されているし、そこから世界中に拡散してしまう。
このように、水銀やDDTの問題は全然終わっていない。(スウェーデンの学校の生物学教科書など)
39%だけになった
スウェーデン人があまり投票しなかった理由を解説するイェテボリ(Goteborg)大学の政治学者エサイアソン(Esaiasson)によると、「(EU)は、有権者の声が反映されないエリートだけのプロジェクトだという気持ちから投票に意義を感じない人が多い」。また、「このEU選挙は1920年代以来、最も社会の階級差が反映された選挙だっただろう」と言う。投票をした人は、収入の高い、学歴の高い人が多かった。移民や収入の低い、学歴の低い人々はあまり投票しなかった。
パーション(Persson)首相は、「低投票率はよく考える必要がある。欧州議会の権力が強まる一方、有権者の支持が減るという実態はよくない。民主主義が『赤字』になってしまうのは非常に危険だ」とコメントした。
今回の欧州議会選挙でのスウェーデンの結果(かっこ内は前回95年の結果):
穏健党 20、7% (23、2%)
中央党 6、0% (7、2%)
自由党 13、9% (4、8%)
キリスト民主党 7、6% (3、9%)
社民党 26、0% (28、1%)
左翼党 15、8% (12、9%)
環境党 9、5% (17、2%)
その他 0、5% (2、7%)
(スウェーデン議会、DN新聞99/6/14+15)
価格250円 (サイズ:37x52cm)
取り寄せ先電話:03ー5276ー0256
情報源:政府報道発表資料、議会データベース、各種メディア、その他。
(文書の後のかっこ内に主な情報源が書いてあります)
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