マイクロ広角レンズの全て

11.高解像度レンズ

バーションアップ(対物レンズ、CCTVレンズ)

'05/6/26

'05/8/15(追加事項)

Kochan


今回は、値段の張る高級レンズに付け替えてどれだけ解像度が高くなるかの実験を紹介します。

最初は、顕微鏡対物レンズをプラン・セミアポクロマート級(5倍)からプラン・アポクロマート級に交換してみます。CCTVレンズは

これまでのKowa LMVZ164です。結果はほとんど解像度の改善は見られませんでした。さらに、CCTVレンズをFUJINON FE185C057HA-1

の魚眼レンズに交換しての実験です。周辺の色収差はかなり目立つものの、さすが世界初500万画素の解像度を売りものにしているだけあって

解像度の高い事は確認できました。この詳細を解説します。しかし、これら二つのレンズの定価合計は37万円となりかなりパフォーマンス

が悪いと思われます。少しでも良質な画像を扱う必然性のある業務用以外では縁遠い物かも知れません。

カメラはcanon D60(APS-C 630万画素) です。

 

11-1. 顕微鏡対物レンズの交換(5倍セミ・アポクロマート→4倍アポクロマート)

@これがMプラン・アポクロマート4倍レンズです。(定価12万円台の高級レンズです:同じグレードでも倍率が違うと数十万円になってしまいます)

Aテストチャートの正面から40 mm の距離で撮影した画像です。4倍レンズですから5倍より捕らえるイメージサークルが大きくなります(4.4mmΦから5.5mmΦ)。参考の為に5倍の対物レンズを使用した場合の画面サイズを赤枠で囲っております。緑枠の拡大画像を左下に示します。

 

 

 

 

B絞り1/4、焦点距離f=1.6mmの場合です。前節でも記述しましたが中心のみは600万画素のピクセル解像度を発揮しており、周辺は急速に解像度が落ちるとともに色収差も強く現れます。

 

 

Cこれは焦点距離f=3.4の場合です。4倍でも四隅のケラレは全く心配ないレベルまでイメージサークルが大きくなります。ズーム端になるほど被写界深度が浅くなるようです。

 

 

 

 

Df=1.6mm、あおりを全く使わないでの撮影です。(近く正立プリズムの解説をする予定ですので、今後、誤解が生じないように表示画像は倒立の場合は倒立のまま掲示します。クリック後の画像は正立が自然な被写体であれば正立(180度回転)表示をすることとします)

E左の緑枠の拡大像です。原画像のピクセル数を1/2縮小して表示です。あおりを使わないと奥行きのある被写体は限界がそれなりにあります。この画像と比べるとFUJINON の高級レンズはさすが高解像度である事が後述の解説でわかるわけですが、コストが高すぎるのが問題ですね(せめて3倍以内にしないとありがたみが薄れてしまいます)

 

 

 

 

 

11-2. CCTVレンズの交換(Kowa LMVZ164 → FUJINON FE185C057HA-1)

この写真がFUJINON の世界最高解像度のCCTVレンズ FE185C57HA-1 です。口径が大きいので、昆虫撮影では被写体にストレスをあたえそうです。このレンズは絞り以外全く調節リングがありません。バックフォーカスや光軸調整など、工場でしっかり調整・検査をして出荷しているのでしょう。6枚羽根の絞りは1.4〜16まで調節できます。マイクロ広角レンズの系では絞り値3以下では同じ露出となります。太陽を画面に入れてもアイリス・ゴーストがほとんど現れませんのでしっかりしたマルチコーティングがされているようです。(実売価格)25万円の大変高価なレンズです。

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@レンズ前玉からテストチャートまでの距離は35mm。この画像の様にFUJINONレンズは16まで絞ると解像度が落ちて、全体に甘い画像となります。

Aこの画像は絞り8でのものですが、解像度はこの8から3までは問題ありません。丁度対角魚眼となる5倍の対物レンズを装着した場合の画面上端から下端までの拡大(緑枠)左下に示します。

 

 

 

 

B1/2縮小画像です。さすが高級レンズです。画面上の全てがピクセルサイズの解像度を持っています。しかし、色収差(青にじみが特に目立ちます)が周辺ほど出てきています。外周付近の球面収差ですが、中心から放線方向のボケだけが強く、回転方向のボケは極端に少ないのに驚かされます(多分、レンズ系の光軸調整は素晴らしく精度良く仕上げてあるのでしょう)。

 

 

C絞り3での画像です。解像度は前の画像の8まではほとんど同じで、ほとんど区別が付きません。この画像では被写界深度までは見分けられません。

 

 

 

 

D絞り8での画像です。テストチャートを取り去って、奥行きのある場面を撮影しました。

E左の拡大です。これらは丁度、11-1)の5,6枚目と比較対比用の画像となります。LMVZ164と比べて全体に解像度が上がっているのがわかります。また、屋根と空との境界に出ている色ズレも少なくなっています。(でもこれが10倍近い値段の差とは納得行かない・・・)

 

 

F太陽を入れての撮影です(絞り値は4)。アイリス・ゴーストはほとんど出てきません。反射率を相当下げ、しっかりしたマルチコーティングであることがわかります。

 

 

G左の拡大です。至近距離の無理した撮影では無いので解像度や色ズレ等の破綻はそれほど目立ちません。

 

 

H口径の大きなレンズですが、テストチャートの上にアゴを乗っけての撮影(絞り8)です。テストチャートには50cmの定規を乗せています。あおりはいっさい使用していません。手前の定規の1mm目盛りがはっきり解像されていますし、16M離れたお隣の建物の屋根まで解像感が連続しているのがわかります。

I左の緑の枠の拡大像です。この画像は1/2縮小画像ですが、緑枠1と2の原画サイズの切り取りを次に示します。

 

 

J1の屋根から垣根植え込みの部分です。屋根と空の境界の色ズレもそんなに目立ちません。戸袋の横縞、すだれの質感も感じられます。

K2の至近距離のテストチャートパターンが綺麗に分離されています(定規の目盛りは印刷ですし、樹脂を通しての像ですから線が明確で無く解像度チェックの対象にはできません、下地のプリントパターンを参考として下さい)。手前のテストパターンの解像と無限遠相当の隣の家の屋根や雨戸等の解像があおり無しで同時に実現しているのはさすがすごいレンズだ。ピント調節が本体のフォーカス筒のみで行うのはちょっと辛い!

 

 

 

 

追加事項(05/08/15)

FUJINON FE185C057HA-1を多用することになって大事なことに気が付いたので追加事項を記入します。それは、

LMVZ164と比べて大変焦点深度が深い事です。上の説明でもあおりを入れないで1cmのレンズの直近からほぼ無限遠まで

焦点が合っていることです。それも絞りがこのレンズ系で最大の開口時での事です。LMVZ164ではこれを実現するためには

あおりを下向きに2度も傾けないと得られない事実です。同じ広角レンズでもここまでの違いが有るのは驚きです。つまり、

FUJINON FE185C057HA-1を使用することでほとんどの被写体を全ピンで一枚の写真で実現できるのです。

あおりを少しかけるだけでCCTVレンズの下方前玉の汚れ位置から、上方の無限遠まで広範な焦点を意図も簡単に

パンフォーカスで写真が撮れるのです。同じ広角レンズの設計でここまでの差が出るとは驚きを隠せません。

このレンズの性能をまたあらためて認識することとなりました。

 

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