
左にならんでいる布陣が、タイで行われたキングスカップでの日本の布陣です。加茂監督は、この大会がW杯予選前の最後の公式戦ということもあり、この4試合で20人にメンバーを絞るためもあって、選考した選手24人全員を出場させました。そのため、毎試合オーダーやフォーメーションが異なっています。
●まず、左の布陣が第1戦と第3戦で用いられた4-4-2のスタイルの際の布陣です。
●各ポジションとも、複数の選手が起用され、それぞれテストされています。
●FWでは、城が高木とレギュラー争いを演じ、城は国際Aマッチ初ゴールを決めています。
●この時の試合でも加茂監督は、MFの名波を攻撃的な位置に入れるのか、ボランチの位置に入れるのか考えたようで、両方で起用し再度チェックしています。
●また、中盤では北澤が代表に復帰し、積極的に動き回りゴールを狙う姿勢を見せ、いい動きが目立ちました。
●また、右サイドでは中村選手が試され攻守に安定したところ動きを見せていました。
●GKでは川口が国際Aマッチにデビューし、失点は喫するものの積極的に前にでる、いわば、「攻撃的な守備」で存在をアピールしていました。
左の布陣が、第2戦のルーマニア戦で用いられた3-5-2システムの布陣です。第1戦とは大幅にメンバーを入れ替えています。
●3-5-2システムは95年の8月以来の形で、2トップにマンマークでついて1人余る形、いわば、対中東勢対策として、用いられました。結果、この試合ではルーマニアの攻撃がさほど強力ではなかったというのもありますが、比較的うまく機能していました。
●中盤では、藤田が復帰しチャンスメーカーとして期待されましたが、前半で負傷退場してしまい、森島と交代してしまいました。
●また、FWの高木もこの試合で右アキレス健を負傷、大事をとって退きました。
●3バックの3人、小村、秋田、斉藤もあいての攻撃を跳ね返すのに、十分な守備を見せていました。
●ここまでの3試合で日本は後半になって運動量がガタッと落ちパスがつながらなくなり、その結果通算、0勝1敗2分けと勝てず、ルーマニアとの3位決定戦にまわる事になってしまいました。日本のマスコミも「大丈夫か?日本」と騒ぐような報道が増えました。

左の試合がルーマニアとの3位決定戦の際に用いられた、加茂監督いわく、「現状でのベストメンバー」の布陣です。
●GKは国際Aマッチ出場2試合目の川口が、下川、小島を差し置いてゴールマウスを守りました。
●中盤では、加茂監督は、結局名波を攻撃的MFとして起用し、それに伴い、前園を右サイドの位置に入れ比較的自由に動き回れるようにしました。
●この試合で日本は、動きの悪かったルーマニアを相手に、やっとチーム全体の攻守のバランスがとれるようになり、2得点を上げやっと勝利を手にし、キングスカップを3位の成績で終えました。
●更に、その後、日本はW杯予選直前にも再びタイとほぼベストメンバーで戦いましたが、選手のコンディション不調から1―3と敗れてしまい、本番を直前に控えて不安が残る結果となってしまいました。

左の布陣が、オマーンで行われた98年フランスW杯予選アジア地区一次予選での日本の布陣です。
●キングスカップから、4人絞った20人のメンバーで日本はこの試合にのぞみました。
●GKはキングスカップに引き続き、川口がレギュラーの座を確保しました。オマーン戦では終盤ヒヤッとする場面もありましたが、何とか0点に抑え、続くマカオ、ネパール戦ではほとんど出番はありませんでした。
●中盤は96年の5月頃の布陣と同じように、左に名波、右に森島が入り、前園はこの時は1試合も出場はしませんでした。加茂監督は、3試合全部を同じメンバーでのぞみました。どうも、戦う選手を固定する方針をとったようでした。
●この試合では、一番の難敵と思われていたオマーンが若手主体のメンバーだったこともあり、日本は何とかオマーンを1-0で下すと、格下のマカオ、ネパール相手には2試合合計で16点を稼ぎ、3戦全勝、無失点と数字上はこの上ない成績でオマーンラウンドを終えました。
●しかし、オマーン戦では小村のゴール以外にも、決定的チャンスが何度かあったにもかかわらず、またネパール戦や、マカオ戦では前半、相手が徹底的にゴール前を守っている時はその守備陣なかなか崩せませんでした。大量得点を奪ったのは、2試合とも後半相手が疲れて運動量が落ちてからだったので、攻撃陣の決定力という点では必ずしも、満足のできる内容ではありませんでした。

左の布陣が、2002年のW杯日韓共催を記念して行われた、日韓戦の前半の布陣です。
●この時期の試合は、日韓両国ともW杯一次予選の後半戦を控えた微妙な時期で、また、10月に予定されているW杯最終予選を見据えての試金石となるあろう試合という、位置付けでのぞみました。
●この試合では、右サイドに怪我の柳本に代わって中村が、左には路木、そして右の攻撃的MFには初
代表の中田が先発出場していました。
●なかでも、中田は中盤で左右にポジションを変えながら、効果的なパスを何本に出したり、自ら積極的にシュートを狙って行き、また守備面でも強い意識で韓国の攻撃をつぶしていきました。
●路木、中村の両サイドも前半は攻守とも無難な動きを見せていました。
●前半、日本は組織的な守備が非常に機能し、韓国の攻撃を早い段階でつぶしていき、ボールの支配率も圧倒的に勝っていました。しかし、最後の決定力のところは、韓国の必死の守りもありゴールネットを揺らすには至りませんでした。
左の布陣が、後半の日本の布陣です。
●FWに城に代って、初代表の西澤が入りました。西澤は、後半開始早々にゴール前の決定的チャンスを外してしまうなど、少し動きに固さが見られましたが、持ち前の高さに強いところなどをアピールしていました。
●日本は、後半の序盤は前半の勢いを持続し、何度か決定的なチャンスをむかえますが、決める事ができず、そうしている内に韓国の右サイドのコーナーキックから、失点を喫してしまいました。韓国の勝負強さをまざまざと見せつけられる失点でした。
●それ以降は、徐々に韓国が盛り返してきて、日本の攻撃が機能しなくなってしまいます。韓国はサイドバックの上がった後の裏のスペースを、持ち前のスピードでどんどん突いてきて、井原が必死でそれをカバーする場面が多く見られました。
●加茂監督は、本田に代えて森島を投入し中盤をダイヤモンド型にする攻撃的な布陣にシステムを変更し、更に疲れて運動量が落ちた路木に代えて相馬を投入しました。しかし、それほど有効な効果は見られませんでした。
●最後の決定的なチャンスを決められないまま、日本は試合終了2分前に迎えた時、左サイドの相馬のセンタリングに日韓複数の選手が交錯しました。そこで主審は微妙な判定ながらPKの判定。それを、カズがしっかりと決め辛くも1-1として、2年ぶりの日韓戦は引き分けに終わりました。
●結果としては引き分けでしたが、前半圧倒的に支配していた内に点をとれず、結局PKでしか点を取れなかったという点で、攻撃には不満が残りました。しかし、初代表の中田が非常にいい動きを見せたのが、一番の収穫でした。

左の布陣が、キリンカップ’97の際の日本の3-6-1の布陣です。
●加茂監督は、対中東のロングボール、カウンター対策としてのオプションとして3バックのシステムを敷き、更に、サイドの空いたスペースに2列目の選手を飛び込ませるため、3-6-1の布陣を試しました。
●1トップには、カズ入りました。カズは、前線に1人残ってポストプレー等に頑張りましたが、高さスピードとも、ややもの足りない印象はありました。しかし、クロアチア戦では、持ち前の得点力を見せ2ゴールをマーク、ここぞという時の強さを見せました。あとになって、森山がAマッチ初出場を果たし、最初は1トップでしたが、徐々にカズと2トップを形成していきました。出場時間が少なかったせいもあり、あまり目立った仕事はできませんでした。
●中盤は、攻撃的な位置には中田と、1戦目ではAマッチ初出場の平野、2戦目は森島が先発で入りました。中田は、日韓戦の時同様、攻守において目立ってました。平野は、持ち前の突破力や、左足での一発はありませんでしたが、初出場で初ゴールを決め結果を出しました。また、森島もこの大会では、2戦ともゴールを決める活躍を見せました。
●ボランチには、山口か本田と名波が入りました。名波はどちらかというと、攻撃に重点を置いてプレーしていました。一方、1戦目先発だった本田は守備ではいい働きをしましたが、攻守のつなぎにやや精彩を欠きました。そういった意味では、山口の方がボランチとして機能している印象がありました。
●また、中盤では望月、伊東がAマッチ初出場を果たし、北澤も出場しました。加茂監督は後に備えて選手を色々と試したかったようでした。
●ウイングバックは、左には相馬、右には中村、名良橋は入りました。相馬は今大会攻守に安定したところを見せ、タイミングのいいオーバーラップが見られました。一方、右の名良橋は思い切りのいい攻めが見られましたが、45分で負傷退場、中村の方は安定した守備を見せ、オーバーラップもまずまずの出来でした。
●3バックも井原がスイーパーとして1枚余る形で、よく相手の攻撃を抑え機能していました。しかし、セットプレーからの失点、ロスタイムの時間の稼ぎ方など、課題がないわけではありませんでした。
●日本は第1戦のクロアチア戦は、4点を上げながら3失点を喫し、攻守のバランスに若干課題が見られましたが、次のトルコ戦では3バックがうまく機能し、トルコの攻撃を完封。GKの川口もPKを止める活躍で日本は完勝、 を果たしW杯予選などに向けて希望が持てる結果を残しました。

左の布陣がW杯アジア地区一次予選のマカオ戦、ネパール戦の際の布陣です。
●キリンカッップ時の24人から絞った20人で、この試合にのぞみました。
●加茂監督は、この試合の時は4バックの布陣を敷きました。
●FWのカズのパートナーは西沢でした。西沢は、持ち前の得点感覚を発揮し、2試合ともゴールを挙げ代表初ゴールを決め、カズもマカオ戦では6ゴール、ネパール戦も2ゴールと絶好調でした。
●中盤は、右の攻撃的な位置には中田が定着し、この2試合では得点チャンスに何度も絡み、マカオ戦では西沢同様、代表初得点を決めています。
●左の中盤は、名波が入っていましたが、後半は名波がボランチの位置に下がり、森島や平野を投入するといった形が見られましたが、平野、森島とも流れを変えたり得点を決めるするような活躍は出来ませんでした。
●ボランチは、山口(素)と本田でした。本田はマカオ戦はバランスよく攻守に貢献していましたが、ネパール戦では攻撃の展開にやや精彩を欠き、代わって望月が投入されました。望月は、時間は少なかったものの、及第点の働きを見せました。
●DFは、スイーパーに井原、ストッパーに秋田が入りました。マカオ、ネパールとも力に格差があったため、特に大きなミスはありませんでした。GKの川口もオマーンラウンド同様、ほとんど出番はありませんでした。
●日本は、各下のマカオ、ネパール相手に大量得点をして、最終戦のオマーン戦を前に勝負を決めてしまいたいところでした。マカオ戦ではカズのダブルハットトリックもあり10得点でしたが、セットプレーや中央突破からの得点が多く、サイドから崩しての得点はほとんどありませんでした。
●また、ネパール戦では必要以上にゴール前を固めるネパール相手に、日本は単調な攻撃しか出来ず、なかなかゴールを奪えませんでした。日本は、前半ロスタイムにやっと1点。後半も、終盤になってカズが2得点で、結局3点しかとれませんでした。格下が相手だったために、得点は決められましたが、単調な攻撃しかできないという課題が出てきてしまいました。
左の布陣が、第3戦のオマーン戦の際の日本の布陣です。
●加茂監督は、オマーンを最終予選であたる仮想中東用の戦術として、キリンカップの際用いた3バックの布陣を敷きました。
●FWは最初はカズの1トップでしたが、前半は平野、後半は岡野との2トップでした。平野は、幾度もボールには絡むものの得点できず、岡野も持ち前のスピードで会場を沸かせ、惜しいシュートも放ちますが、オマーンGKにとめられてしまいました。
●中盤は、中田、名波が攻撃的な仕事をしましたが、後半は疲れもあったせいか、ミスパスが増えてしまっていました。ボランチの山口は、攻守にまずまずの働きでした。
●両ウイングには、中村、相馬が入りました。中村は、前半、何度も決定的なチャンスに絡むなどまずまずでしたが、後半ポジション取りが少し不安定でした。相馬は、タイミングの良いオーバーラップは見られたものの、センタリングの精度に問題がありました。
●3バックは、前半は井原、国際Aマッチ初出場の鈴木(秀)、斉藤が入っておりまずまず安定した守備を見せていました。しかし、後半、加茂監督はあえて井原に代えて秋田を投入し、井原抜きでの守備陣をテストしましたが、体格に優るオマーン相手にハイボールの競り負けたり、クリアボールを拾われるなど、不安定でバランスが悪いところを露呈、一次予選で初の失点を喫してしまいました。
●結局、日本は一次予選を5勝1分けという成績で、最終予選へ駒を進めました。相手を崩す形までは、できているのに、それ以降、最後ゴールを決める決定力の面で課題が多く見られました。