トルシエジャパンの布陣3


2000年(4月まで)

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カールスバーグカップ(2月)


アジアカップ予選(2月)


親善試合(中国戦)(3月)


親善試合(韓国戦)(4月)


下に描いた布陣の図はあくまでおおまかなものです。
実際の試合とは、選手交代やポジションなどが、若干異なる場合があります。





カールスバーグカップ(2月)


  日本  0―1  メキシコ

  日本  0―0  香港選抜
(6 PK 5)



メキシコ戦 カールスバーグ杯
 左の布陣が、2000年最初の試合となった、香港でのカールスバーグカップ初戦の日本の布陣です。

●実に5ヵ月ぶりの国際Aマッチとなったこの試合では、FWの平瀬、MFの稲本、そして3バックの松田、大岩、中田(浩)の5人もの選手が、Aマッチデビューを飾りました。

●GKは楢崎。持ち前の反射神経から、素早い反応を見せ、大きなミスもなくゴールマウスを守りました。

●DFの3バックは松田が中央に入り、3人とも初代表の試合という事で、ラインを保つことにやや専念しすぎな感もあり、また、メキシコの左右のゆさぶりやロングボールから裏を取られる場面も見られました。1失点ですが、やや不安は残しました。

●中盤では、伊東と稲本がドイス・ボランチを形成。中盤でのチェックと、攻守の繋ぎという面では、運動量もあり良く動けていました。どちらかというと、伊東の方が積極的に攻撃への姿勢が見られていました。右のウイングには望月が入り、テクニックの高さを披露。初めて左サイドで起用された名波も、高い技術からチャンスは作りましたが、やや連携の面で十分に機能は出来ていませんでした。初めての代表先発となった小野も、広い視野と高い技術からチャンスメークをしていましたが、プレーにやや思い切りがない様に感じられました。

●FWは、先発の中山、平瀬とも思いきりのいいプレーで前線から積極的に動き回り、決定機にも再三絡んでいました。ただ、平瀬の方はややサイドに張りすぎかなという印象。中山の頑張りが特に印象に残りました。

●日本は、全体的なバランスを保とうという意識が強すぎた印象があり、攻撃の場面で選手間の連携も不十分な印象を受けました。守備面では最後の場面では、身体を投げ出し良く踏ん張っていましたが、中盤でのプレッシャーも十分ではありませんでした。攻撃面での約束事はほとんどない様でした。

●日本は前半から、選手は積極的に動き回り、左右の展開からチャンスを作りかけるなど序盤は日本のペースで試合は進みました。しかし、時間が経つにつれて、中盤での潰し合いなどで一進一退の攻防。お互い、セットプレーなどから惜しいチャンスは作りましたが、結局0―0で前半を折り返します。

●後半早々、メキシコの選手が暴力行為で退場し10人となりますが、ここから試合の流れが変ります。やや守備的になったメキシコに対して、日本は攻守でバランスが崩れます。中盤でボールが奪えなくなし、カウンター狙いになったメキシコの速攻に苦戦し、前半10分にはサイドを破られてメキシコに先制ゴールを許してしまいます。

●その後も、日本は試合のペースを変える事が出来ないまま時間が経ちます。トルシエは、奥、平野、沢登、そして1年8ヵ月ぶりの代表戦となったカズなどを次々に投入します。

●カズは、中山に代っての出場でしたが、自身で積極的にドリブル突破をはかるなど懸命なプレーを見せていました。また、奥も得意のドリブルからチャンスメーク。平野、沢登といった選手も、短い時間の中でどうにか自分の持ち味を発揮しようとしていましたが、十分に機能は出来ていませんでした。

●結局、試合は日本の方が積極的に攻めながらも0―1で終了。森岡、宮本といったトルシエのフラット3を熟知した選手がいなかった為に、守備のシステムにこだわりすぎて、また中田の不在などもあり攻撃面で個人的に余裕がなかったという感が否めない試合でした。

●しかし、いつまでたっても選手不在や準備不足を言い訳にして良い訳ではありません。




香港選抜戦 カールスバーグ杯
 左の布陣が、カールスバーグカップ3位決定戦の対香港選抜戦の日本の布陣です。

●相手は香港リーグの選抜チームという事で、欧州の選手が多く、その為、この試合は国際Aマッチではありませんでした。

●日本はメキシコ戦との違いは、沢登、カズが先発。名波がボランチの位置に入り、左サイドには服部が入り、3バックの右には中沢が入りました。

●日本は、前半から守備の意識も積極的になり、攻撃面でも選手感で攻めの意識の共有が感じられる様になり、メキシコ戦よりは決定的なチャンスが何度も生まれていました。

●FWのカズと中山のコンビも良く、沢登や名波も好パスを出し、左右からの展開もスムーズでした。3バックも、中沢のフィードが不安定なのが気になりましたが、それ以外は無難に機能していました。メキシコ戦よりも、攻撃参加の意思が見られ、その結果、ライン全体の押し上げに繋がっていました。

●香港選抜も、欧州の選手を多く揃え、個人の能力もチームとしての連携のレベルも高いものがあり、その為、日本もチャンスは作ってもやはり点が取れませんでした。

●後半、日本は平野や平瀬、初代表の中村、明神などを投入しチームの活性化を計ります。特に、平瀬、中村、明神などの五輪代表選手が、大きなサイドチェンジや連携の良さなどを見せ、前半以上にチャンスを生んでいました。中でも、中村の視野の広さや個人技の高さなどは印象に残りました。A代表でも通用すると思わせる出来でした。

●日本は後半も攻めに転じ、優位に攻撃を進めますが、相手GKの好守などもあり無得点。終盤には平野が退場するなど、チームのバランスが良かっただけに、悔やまれる内容で90分が終了。

●結局、PK戦で決着となったこの試合は6―5で日本が勝利し、日本はカールスバーグカップ3位で終わりました。

●この大会では、日本には結果も内容求められるという非常に難しい位置付けの試合でした。また、DFの森岡、宮本といった選手が怪我で不在。また、攻撃面でも中田が不在と、最初から不利な材料は揃っていました。
 そんな中、トルシエは新しい選手をどんどん試すなど、やはりテストを行いました。その為、結果は出せずに終わりました。内容も、本来のポジションではないポジションで使われた選手などもおり、決してチームとして十分な機能は果たせていたのかどうかと言えば疑問です。トルシエの生命線とも言えるフラット3も、ロングボールや左右の揺さぶりに対しては、相変わらず弱い面を露呈しました。
 ベテランと若手が初めてミックスされたこの代表。しかし、まだまだ連携は不十分でした。チームとして完成させるのであれば時間はまだかかりそうです。五輪代表選手がいい動きを見せていたのに希望は見い出せましたが、2002年まではあと2年。果たして、本当にこのままで良いのかどうか、疑問は残ります。








アジアカップ予選(2月)


    日本  3―0  シンガポール
(中沢2、中山)     

  日本  9―0  ブルネイ
(平野、中村、沢登、中山3、カズ、高原2)     

 日本  3―0  マカオ

(中山2、高原)     


シンガポール戦
アジア杯1  右の布陣が、マカオで行われたアジアカップ予選の第1戦のシンガポール戦の布陣です。

●日本はGK川口、3バックに松田、中田(浩)、中沢、中盤は底に稲本、右に伊東、左に中村、攻撃的な位置に小野と沢登、FWは中山と高原の2トップでした。高原、中村の2人が国際Aマッチデビューを飾っています。

●カールスバーグカップでは無得点に終わった日本にとって、レベルの落ちる相手との対戦であるこの大会では、どれだけ得点を取れるのかが大きな焦点の1つでした。

●しかし、相手のシンガポールは執拗なまでにゴール前を固め、日本にスペースをあたえません。日本は中盤では殆ど自由にパスを回せますが、そこから先で決定的な形がなかなか生まれません。

●サイドからの放り込みや、ロングボール主体の攻撃が多く、密集するゴール前を効果的に崩す事がなかなか出来ません。

●ようやく先制のゴールは、前半15分、中村のコーナーキックを中沢がヘディングで合わせゴール。国際Aマッチ初ゴールを決めます。

●その後、日本は中盤でボルを持った中村がそのままペナルティエリア内に切れ込み、倒されそれがPKの判定に、中山がこれをしっかりと決め日本は2点目を決めます。

●しかし、その後もせめあぐねる日本。点を取られても前に出てこないシンガポールに対し、ボールはキープしますが得点が奪えません。結局、このまま2―0で前半を終了。

●後半、トルシエは奥、明神、平瀬などを投入しますが攻めながら点の取れない状態はなかなか変わりません。選手間の連携が噛み合わず、パスミスも多く見られました。無駄な横パスやバックパスが目立ちました。

●ようやく追加点が入ったのはロスタイム、またしても中村のコーナキックから中沢のヘディングでした。中沢はこの試合2点目、中村も3得点全てに絡む活躍でした。

●結局、3―0で日本は勝利しました。ゴール前を執拗に固める相手に対して、セットプレーでしか得点できなかったのは、仕方なかったと見る趣きもありますが、もう少し攻めに工夫が欲しかったというのも正直なところでしょう。

●得点に絡んだ中村、中沢や、中盤で稲本や明神といった五輪代表世代の選手が、いいプレーは見せていましたが、ベテランの世代との連携がまだまだだという印象は否めない内容でした。



ブルネイ戦
アジア杯2  左が第2戦のブルネイ戦の日本の布陣です。

●前の試合と比べて、FWにカズが、右サイドで奥、左サイドに平野、3バックの左には服部といったメンバーが入り先発に名を連ねました。

●日本は最初から、攻撃の意思を見せ厚い攻撃を仕掛けます。ブルネイがシンガポールほどゴール前を固めずにラインを上げて来た事で、スペースが生まれ、日本は前半1分に小野のパスを受けたカズが抜け出し、GKと接触。最後、こぼれた所を中山が押し込み、日本が早くも先制。

●その後も日本は、混乱するブルネイDF陣を攻め、わずか4分で中山が更に2ゴール。中山は試合開始からわずか3分15秒でハットトリックという、世界新記録を達成します。

●これで、もっと点が取れるかという雰囲気が漂いましたが、しばらく日本は点が取れなくなります。ブルネイDFの動きが良くなってきた事と相手GKの好守などもあり、小野などの強烈なシュートも無得点。カズなども決定的な場面でふかしてしまいます。

●しかし、ボールは日本が常にキープする展開で、35分には平野のセンタリングからカズが今度はヘディングでしっかりと合わせてゴール。カズは、実にフランスW杯最終予選の第1戦のウズベキスタン戦以来の国際Aマッチでのゴールを決めました。

●その後も、前半終了間際に中村がミドルシュートを決め日本は5点目。中村自身、国際Aマッチ初ゴールを決めました。前半は5―0で終了。

●後半も日本は、攻める姿勢は見せ続けます。奥に代えて沢登をいれて、中村が右サイドでプレー。更にはカズに代えて高原も投入します。

●また、後半途中にはテストの意味合いもあってか松田に代えて、国際Aマッチデビューの米山を投入します。今大会通じて、日本は全般的に攻める時間が多かったので、DFの評価は難しいものがありましたが、取り敢えず米山はフラット3の中央として無難にプレーしていました。

●日本は、終始攻め続け、シンガポール戦よりは遥かに多くのチャンスを生みますが、簡単なシュート場面で落ち着いてシュートが決まらないなど、前半同様のミスも目立ちました。

●日本はゴール前でも自分でいくよりはパスを出してしまうという場面も多く見られましたが、それでもブルネイのDFがあまり強くなかった事もあり、どうにか強引な形でもシュートを決め、高原が国際Aマッチデビューとなるゴールを決めるなど2得点。集中の切れたDFの裏を突き平野もゴール。決定的なシュートを外していた沢登も、ミドルレンジから強烈なシュートを叩き込むなどで、日本は後半4点を上げます。

●結局、この試合は9―0で終了します。点差を見れば、圧倒的な大勝、内容にはもっと差がありました。決定的なチャンスの回数はもっと多かったし、チャンスにもっと積極的に仕掛けても良いのではと思えるような場面も何度も見られました。まだまだチームとしての課題は多いと感じさせられる内容でした。




マカオ戦
アジア杯2  左の布陣が第3戦となった、マカオ戦の布陣です。 ●日本は、中盤に沢登、小野、中村を同時に先発させ、小野を右サイドで起用します。

●この試合は、マカオが日本人監督の上田監督の指示のもと、前線や中盤でも積極的にプレスをかけてきたため、日本も落ち着いてプレーが出来ずに、プレーの精度が落ちます。

●中盤は小野の右サイドはやや不自然な印象がありましたが、沢登のコンディション不良もあってか、トルシエはわずか20分で明神を投入し、小野は右サイドに。これで中盤のバランスが戻りました。

●マカオは、積極的な攻撃を仕掛けてきますが、やはり日本の方がレベルは上。決定的なチャンスを作る前にボールは奪われてしまいます。中盤では予想通り、日本が優位にボールを回します。

●ようやく先制点が決まったのが前半35分、右サイド、小野と中村のワンツーパスで中村が抜け出し、DFとGKの間に見事なセンタリングを上げ、これを中山が冷静に押し込み先制。見事な形でのゴールでした。

●しかし、その後も日本は前の2戦に比べ疲れが残っていたのか全体的に動きが遅く、相手に合わせたかのようにプレーがゆっくりでした。

●日本は1点しか取れずに前半を終えます。

●後半、日本はカズに代えて高原を投入します。高原は、前線で動き回りまずまずの動きでしたが、もう少し攻めに積極性が欲しい所でした。

●後半もマカオは積極的に前から守備をしてきましたが、やはり前半よりは動きが落ち、その分引かざるを得なくなります。日本はますますボールをキープできますが、全体的に攻めに勢いがありません。

●後半も、日本は中山のアシストから高原が追加点を上げ、中山自身も小野のパスから抜け出し強烈なシュートで自身2点目をあげますが、結局このまま。日本は再三のチャンスも十分に生かせないまま、結局3―で試合終了となりました。

●今大会、日本は3試合で15得点無失点と、数字上では文句なしの成績で予選突破を決めましたが、試合内容はどの試合も決して満足のいくものではりませんでした。

●若手とベテランが始めて一緒になったこのチーム。まだまだ連携の面などで課題が多いのは事実ですが、部分的にではありますが攻めの形は作れている様な印象は受けました。

●この大会では、中山ベテランながらストライカーとして健在な所をアピール。また中村、中沢といった若い選手も攻めへの意識を強くみせ、印象に残るプレーを何度も披露し活躍していきました。また、トルシエはカズのプロ意識の高さも非常に評価しているようです。
 ただ、小野はまだ怪我の後遺症かプレーのキレが十分ではなかったのが気になりました。

●今後、このチームをどれだけのチームに仕上げる事が出来るのか、トルシエのA代表での手腕に対しては賛否両論ですが、もう少し見極めても良いでしょう。







親善試合(中国戦)(3月)


日本  0―0  中国


中国戦  右の布陣が神戸で行われた親善試合の中国戦の日本の布陣です。

●なかなかA代表の試合において結果を出せていないトルシエは、この試合に欧州でプレーしている中田、名波、城を召集し、現時点でのほぼベストメンバーとも呼べるメンバーで試合にのぞみました。

●GKは楢崎、DFの3バックは中田、松田、森岡の3人。中盤は、ボランチの位置に稲本、名波が左の外側、右には望月、攻撃的な位置に中田と小野、FWは中山と城の2トップでした。

●GK楢崎は、中国選手のパワフルな攻撃の前に持ち前の反応の良さと積極的な飛び出しも見せ、プレーにもかなりの安定感が出ていました。

●3バックも、中国のロングボールに対し良く反応はしていましたが、それは中国が全体的に引き気味でカウンター狙いのサッカーだった所が大きく、DF同士の間を突かれた攻撃で、ヒヤリとする場面も何回かはありました。

●中盤は、豪華なメンバーが揃っていました。特に中田は長旅の疲労があったにも関わらず、抜群のポジショニングの良さと視野の広さ、身体の強さを見せ、他の選手と比べても群を抜いていました。後半は疲れからミスパスも見られましたが、それでも積極的に最後まで攻撃的な姿勢を見せ、チャンスを何度も作っていました。

●同じくイタリア帰りの名波は、中田に比べるとコンディションが、まだいま一つな印象でしたが、それでも正確なパスワークで再三のチャンスに絡んでいました、ゴール前で決定的なシーンにも何度か絡みましたが、得意の左足ではなく右足でのシュートだった為、ゴールはなりませんでした。

●右の望月は、積極的な攻撃参加で、惜しいシュートチャンスもあるなど機能し、守備面でも豊富な運動量で身体を張ったプレーを見せていました。中盤のそこでプレーした稲本は、視野の広さを見せ、何度も効果的なロングパスを出したり、身体の強さを見せるなど、A代表でも定着してきたという印象を与える出来でした。ただ、後半は少し疲れていたようでした。小野は、局面局面では能力の高さを見せ、周りを囲む中国選手もなかなかボールを奪えないといったシーンも見られましたが、味方との連携ではまだ、判断がワンテンポ遅い印象でした。プレーに思いきりの良さがもう少し欲しい所でした。

●2トップの中山、城も久々のコンビでしたが、城は前半早々に膝を負傷。その影響もあったのかプレーには精彩を欠き、球離れが遅かったり、シュートチャンスに積極性が物足りないなど課題は変わらないままでした。中山も、いつも通りの一生懸命なプレー。中国DFを振り切って積極的に飛び出し、ヘディングシュートでネットを揺らしますが、オフサイドの判定でノーゴールでした。しかし今でも日本人のFWでは彼がトップクラスであるという印象を見せられました。

●試合の方は、守備を厚くする中国に対し、日本は中盤で優位にボールを支配し、チャンスも日本は数多く生まれていました。しかし、相手GKのファインセーブなども重なり点が取れません。日本は多くのチャンスを作っていましたが、厚い守備を崩せません。時折見せる中国のスピードのある攻撃に時折、ピンチになりかける場面もありました。

●後半、トルシエは不調の小野に代えて服部を投入し左サイドへ。名波を攻撃的な位置に上げ、さらに中村を投入。服部は左のDFに入りました。中村はゴール前から見事なFKを蹴りますが、これも中国GKのファインセーブでノーゴール。結局、終始、日本が優位に試合を進めるという展開は変わりませんでしたが、やはりノーゴール。結局、試合は0―0で終了。日本はまたしても勝てませんでした。

●格下を相手にしたアジアカップ予選を除いては、内容は良い試合でした中盤でも高いポテンシャルを維持し、守備も無失点。しかし、言われ続けて来た決定力不足はまたしても解消されませんでした。この、内容の試合が続けば果たして本当に得点が取れるようになるのでしょうか。その事に不安を感じている人も少なくないはずです。

●ユース代表や五輪代表では結果を出しているトルシエ。彼が理想とするチームが、強力なチームだというのは理解できます。しかし、その理想のチームは本当に実現可能なのか、そして実現出来るとしたらそれはいつ頃なのか、それは誰にも解りません。今後の協会の判断も含めた動向には注目していかなければならないでしょう。








親善試合(韓国戦)(4月)


日本  0―1  韓国


韓国戦  左の布陣が、ソウルで行われた韓国戦の日本の布陣です。

●トルシエ監督は、この試合のためにイタリアから中田、名波を呼び寄せ、また、アジアチャンピオンズカップの試合の為にサウジアラビアに行っていて、そこから帰国した直後のジュビロの中山、服部も先発起用するなど、ベストメンバーで挑みました。結果を出せていない現状に対する、トルシエ自身の気持ちの表れもあったのかもしれません。

●メンバーは、GKの楢崎、DFのフラット3には松田、服部、森岡、中盤はボランチに名波、稲本、左のアウトサイドに名波、右には望月、トップ下の位置には中田、2トップには中山、柳沢という先発メンバーでした。

●最近は定着してきた感もあるGK楢崎は、この試合でも安定した守備を見せており、反応の早さなども頼もしい印象を受けました。

●DFのフラット3も、再三リングボールを放り込んでくる韓国の攻撃を良く跳ね返していました。逆を言えば、韓国の攻撃がずっと単調だったという事もありました。しかし、時折、中盤との連携の面で、集中を欠いたせいか部分的にポッカリとスペースを作ってしまう場面が何度かあり、韓国にはそのスキを尽かれてしまいました。しかし、トルシエ体制になってからずっと徹底されているこのフラット3。守備面に関してはかなり安定していました。

●中盤では、名波、望月ともチャンスには絡みましたが、自分の持ち味を十分には発揮できなかったという印象。中田も、韓国の崔成勇(チェ・ソンヨン)のマンマークを受け、十分にパスを供給できませんでした。中田も名波とポジションチェンジするなど工夫を見せてはいましたが、十分ではありませんでした。伊東も稲本はボールキープはしたものの、韓国の激しいチェックの前にやや消えてしまっている場面もありました。

●FWの中山、柳沢も動き自体はチャンスメークを生み出そうとしており、決して悪い動きではありませんでしたが、韓国の厚い守備陣の前には無得点に終わりました。

●韓国は、守備を厚くし中盤では中田をマンマーク。とにかく日本の長所を潰そうとするサッカーをしてきました。日本は守備は安定していたものの、韓国のカウンターからの速攻、クリアボールを奪われてヒヤリとするシーンもありましたが、ここは楢崎のファインセーブで難を逃れました。日本も何度かチャンスは作りますが、韓国GKの好守もあり点が取れません。

●後半、韓国は疲れが出てきた為に前半よりはプレスが弱まり、これにより日本が試合のペースを掴みボールもキープできる様になり、惜しいチャンスは迎えます。後半最初の15分くらいは完全に日本がボールを支配していました。しかし、良い形は作るものの、点が取れないという今までと同じ展開が続きます。韓国の洪明甫を中心とした守備陣は強力でした。

●韓国は積極的に攻撃的な選手を投入し、流れを変えようと試みますが、その矢先、韓国のDFの1人が警告2枚で退場。これで、日本に流れが行くかに思えました。トルシエは、森島や高原を入れて事態の打開を計ろうとします。しかし、その直後、マークがズレて中盤にポッカリできてしまったスペースから、河錫舟に強烈なミドルシュートを撃たれ、それがポストに当りゴールイン。やや幸運な形ではありましたが、押され気味で1人少なくなった韓国が先制してしまいました。これで韓国は、息を吹き返します。

●トルシエは、その後、矢継早に中村、Aマッチ初出場の小島、そして三浦などを投入しますが、時間は短すぎました。守備を固めた韓国の前には、スペースがなく選手達は持ち味を出せませんでした。トルシエにしては、やや焦ってしまったのか落ち着きのない交代に思われました。

●結局、試合終了。韓国がホームの大観衆の前で勝利しました。韓国はベテラン選手を揃え、日本戦だけの為に勝つチームを組んできました。その執念が実ったと言えるでしょう。一方の日本も、メンバー的には、ほぼベストメンバーと言っても良い陣容。ただ、シーズン中だったためか、コンディションは決して良くありませんでした。

●点が取れないというのは、一体、監督の戦術なのか選手個々の能力の問題なのか、それは難しい所です。しかし、トルシエが目指している方向性は決して間違ってはいないように感じられます。

●今後の去就が注目されるトルシエ監督、ここまでチームを作っておきながら、果たして日本サッカー協会は彼を解任するのでしょうか?今後の動向に更に注目していかなければならないでしょう。





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